暗号資産の匿名化サービス「Tornado Cash」の共同創設者であるロマン・ストーム氏が、マネーロンダリングなどの容疑で米国当局に起訴された。過去にリップル社を訴追した元米国証券取引委員会（SEC）委員長がこの件に関与しているとされ、暗号資産のプライバシー技術に対する法規制の強化が改めて焦点となっている。
この裁判は分散型金融（DeFi）の未来に大きな影響を与える可能性がある。
匿名化技術の功罪
Tornado Cashは、ユーザーの取引履歴を匿名化し、プライバシーを保護する目的で開発された。しかし、その特性から資金洗浄などの違法行為に悪用されるリスクが指摘されてきた。
実際、北朝鮮のハッカー集団「Lazarus Group」がTornado Cashを通じて盗んだ資金を洗浄したとされており、これがストーム氏の起訴の根拠の一つである。技術の自由と法の支配の間の緊張が浮き彫りになっている。
法廷闘争の行方
ストーム氏の裁判は2025年7月に開始される予定であったが、2026年2月に延期された。起訴内容はマネーロンダリング、無許可の送金業者の運営、米国制裁違反の共謀など多岐にわたる。
イーサリアム財団やヴィタリック・ブテリン氏など、著名な暗号資産関係者は「コードを書くことは犯罪ではない」とストーム氏への支援を表明している。一方、オランダではTornado Cashの別の開発者がマネーロンダリングで有罪判決を受けており、今後の判決が注目される。
日本市場への影響は？
日本でもマネーロンダリング防止のための規制が強化されており、暗号資産の匿名化サービスに対する監視は厳しい。金融庁は利用者に対し、このようなサービスを用いる際の法的リスクを十分に確認するよう促している。
ストーム氏の裁判結果は、日本の暗号資産関連企業や投資家が匿名化技術をどのように扱うべきかについて、新たな指針を示す可能性がある。プライバシー保護と犯罪対策のバランスが問われている。
まとめ
ロマン・ストーム氏の裁判は、暗号資産のプライバシー技術と法規制の境界線を定める上で極めて重要な意味を持つ。技術革新の自由を擁護する声がある一方で、マネーロンダリング防止の必要性も高まっている。
この法廷闘争は、DeFiや匿名化技術の将来的な発展に大きな影響を与え、規制当局と開発者の間の議論をさらに深めることになるだろう。日本の投資家も、この動向を注視する必要がある。
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